連翹

桜が満開になった。安曇野をめぐるといたるところで、淡いピンクの花が目に入る。そしてもう一つ咲き誇っているのが鮮やかな黄色の連翹である。我が家の駐車場にも何本かあり、今は亡き父が植えてくれたものだ。
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連翹
連翹は三月咲く花
小さな可憐な花 黄いろい十字の花である
道のかたはら とある蘺のうへに
わたしの知らない花を見て
妻に花の名を訊ふた
妻は訝しげに連翹とこたへた
連翹は
むかしわたしのすきだったひとの
好きだった花である
その花の名を聴きながら その花を
わたしはけふまで知らずに過ごした
早春
花咲いて
花あれど実のらぬといふ連翹の花
さながらひとの身のやうに
それは妻の知らない さうして妻を知るまへの
わたしの秘かなできごとだが
   (大木 實 ”遠雷”所収)
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大木實は大正二年の生まれ、役所勤めをしながら詩作した。この詩は30歳頃の作品。平易な言葉で庶民の哀歓を歌った彼には、偉大なるマイナーポエットという尊称がふさわしい。心にしみじみ響く詩が沢山ある。また紹介します。
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by azuminoyh | 2008-04-18 10:23 | 季節の詩
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