Viva ! Opera

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ミュンヘンにあるバイエルン国立歌劇場

やっぱりオペラは素晴らしい。ウィーンで”ボリス・ゴドゥノフ“を観た。ロシアの史実に基づいてつくられた作品で、作曲はムソルグスキー。前王の遺児を謀殺し帝位に付いたボリスが(それは民衆から望まれたことではあったが)、幻影におびえ、甦ったと偽る皇子が率いる軍勢がモスクワに迫る中狂気して死ぬ、というストーリーで、孤独な権力者の心理的な葛藤を描いたオペラ。オペラはラブストーリーと思い込んでいた僕には、とても食指が動くような演目ではなかった。しかし地響きのするような合唱、迫真の演技と声で演ずる主役ボリス(バス)の熱演に引き込まれてしまった。端っこの席ではあるけれど舞台に近いので、表情が良く見え、遠くでお芝居をしているのを眺めるという感じでなかったことも幸いした。
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カーテンコールで喝采を浴びるボリスを歌ったFurlanetto
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ローマの歌劇場は、座席数500位の小さな歌劇場だった。出し物はロッシーニの“セヴィリアの理髪師” ご当地ものなのでこれは嬉しい。入れ物が小さいので舞台との親密感がありとても良かった。無論満席、値段は34E(4800円)と少々高かった。開演時間が8時半、終演は11時半過ぎと随分遅い。歩いて15分位のところにホテルを取っていたから良かったものの、悪名高きローマゆえ深夜に歩くのはちょっと心配だったが杞憂だった。
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オケピットは舞台に囲まれている。
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終演後拍手に応えてダンサー達が走り回る。
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今までパリ、プラハ、ドレスデン、ミュンヘンでオペラを見てきたけれど、やはりウィーンのレベルが最も高い。舞台装置にお金がかかってるし、歌い手の質がいい。容姿も歌唱力も間然するところがない。レパートリーシステムの公演なので毎日演目が変わる。国立歌劇場とフォルクスオパーの二つの歌劇場があるので演目を見比べて好きな方に行ける。(この点は国立歌劇場と国民劇場があるプラハも同じ) ウィーンは音楽の都と云われそれを誇りにしている。威信も自負もあると思う。それを感じさせる舞台だった。
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階段に立つ見張りのお姉さん。チケットの端を少し手でちぎるのがこちらの流儀。客席への入口にも立っていて席を教えてくれる。自力で自分の席を見つけるのは慣れないと難しい。
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初めてミュージカルを見た。“マイ・フェア・レディ” ビデオを見て予習していったけれど、いまいちだった。せりふが多く言葉がわからないのがその理由。でも音楽はとても素晴らしかった。特に大勢が出てくる場面は華やかで楽しい。
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フォルクスオパーはオペレッタ、ミュージカル、親しみやすいオペラを上演している。
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ウィーン最後の日にとんでもないおまけがあった。前々日の夜、イベント一覧の小冊子を眺めていて、ウィーンフィルの演奏会があることを発見した。場所は無論本拠地のムジ-クフェラインザール。翌朝チケット売り場にだめもとで駆けつけた。そしてめでたくゲットした席は27Eだった。いくつか席が空いていて一番いい席を教えてくれた。前日は興奮してなかなか寝付けなかった。
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このホールに足を踏み入れるのは今日が初めて。朝10時からと早いけれどどんどん人が集まる。黄金のホールといわれるだけに金ぴかでとても豪華。会場に入って驚いた。自分の席が本当にど真ん中で、2階の一番後ろなので前の席とずれていて指揮者の背中が丸見えなのだ。(帰ってから辞書を引いてみたらこの演奏会は、公開リハーサルと判明した。)
響きが美しい2大ホールはこことアムステルダムのコンセルトヘボウとされている。今日で僕は制覇したことになる。
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演目は“Ring without word”で、ワーグナーのオペラ”ニーベルングの指輪“からの音楽をオケのみで演奏するもの。指揮は巨匠マゼール、編曲も自身による。地の底から響いてくるような冒頭部から段々音量が大きくなるところで、体が震えてきた。本当に自然で豊かな響き、音楽に包まれ窓からは明るい光が降り注ぎ、今ここにいるのは現実なのか夢の中なのか。
自分の体から心だけが抜け出して、音楽に乗ってふわふわとあたりを漂っているような錯覚にとらわれた。1ヶ月に渡る旅をこんな素晴らしい演奏会で締めくくることができるなんて夢想だにしてなかった。昨日まで「もう帰らなければならないんだ」とちょっと寂しい気持ちがしていたのだが、それも霧散してしまった。
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by azuminoyh | 2009-02-06 23:19 | 旅行記
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